2012年7月13日金曜日

Brown, Clotel

Brown, William Wells.
Clotel; or, the President's Daughter. 
1853. New York: Penguin, 2004.

☆「初」のアフリカンアメリカン作家による小説、と言われる作品。題材はBenjamin Franklinとその黒人奴隷の娘であるClotelの人生と悲劇的な死。作品はBrown自身のPreface(自分の人生をどこかschizofrenicに三人称で語る—時にWilliam says, として一人称を交えるのが興味深い)ではじまる。物語自体は母Currer、妹AlthesaとともにClotelが売られるNew Orleansのslave auctionで幕を開ける。ともに白人並みに色の白い姉妹は高い値がつく。ClotelはHoratio Greenに見初められて「妻」として買われ、Richmondで娘MaryをなすがGreenの結婚に際し、その妻の嫉妬からルイジアナに売られて髪を切られ、そこから男に変装して脱出するもRichmondに戻って娘を助けようとして失敗し、Washingtonのホワイトハウス付近で川に身を投げて自殺する。AlthesaはオークションでJames Crawfordに買われた後、Henry Mortonに見初められ、買い受けられてまた「妻」となり二人の娘をなしNew Orleansで幸せに暮らすが、夫と共にyellow feverに倒れる。二人の娘達は両親の死によって自身の「奴隷」のステータスを知ることになり、オークションでどちらもJeffersonの孫として高値で買われるがふたりとも自殺に近い死を遂げる。ただし作品はClotelの娘Mary(Jeffersonの孫)とこれまたWashingtonの隠し子とおぼしき男との結婚で幕を閉じる(ふたりともヨーロッパに渡っている)。

★slave auctionの描写:奴隷が徹底してcommodityとして扱われる様子がほかのどの作品よりもはっきりと描かれている。高値をつけられるために油を塗られたり、髪を染められたりする。This was a Southern auction, at which the bones, muscles, sinews, blood, and nerves of a young lady of sixteen were sold for five hundred dollars; her moral character for two hundred; her improved intellect for one hundred; her Christianity for three hundred; and her chastity and virtue for for hundred dollars more. (50) 奴隷制は資本主義における「人間の(身体の)売買」のembodimentとなる(ちなみにBrown自身がどのようにbankerとして成功したかというエピソードは大変面白い。自分尾バンクノートをどのようにして"circulate"させるか、という話 pp26-28)。
★奴隷達のfamily nameのなさというのも家族を考えるにあたっては興味深いトピック(これもまたBrownが自分を救ってくれたWells Brownのfirst, family 両方の名をとってWilliam Wells Brownとした、というエピソードが面白い。p 21)