London, Jack. The Sea-Wolf. 1904
サンフランシスコに航海途中のHumphrey van Weydenはフェリーが嵐に見舞われて漂流、日本へ向かうアザラシ漁船Ghostに拾われる。船長Wolf Larsenとの関係の中で「男」になってゆくHumphreyはやがて出会った詩人Maud Brewsterと恋に落ち、Ghostから逃れ、無人島に漂流。やがてクルーに裏切られ、独りでGhostに乗って漂流してきたWolf Larsenと再会し、最後はLarsenの死を看取る。
典型的なbetween men situationで、さんざんeffeminateだとかSissyだとか呼ばれていたHumphreyはLarsenとの関係の中で初めてMaudを愛するようになる。異性愛が最後のmasculinity教育だという感じ。Ghostという船の名前もそうだけれど、常にメランコリーに囚われているLarsenがとてもよい。これまたProfessor's Houseと似た感じにはなってしまうけれど、Larsenが愛の対象としてあって、それがすでに同性愛禁止によって失われているのでメランコリックに彼と同化することによって男性性を得る物語としてかなりストレートに読める(primitiveなものとしての男性性を獲得する―civilizationから離れて。典型的なturn of the century の言説)。バトラーのgender=メランコリーによる獲得説としっくりくるけれど、でももう一ひねりほしいところだなぁ。あと気になるのはLarsenが何度も「美しい」とされていること。"His body, thanks to his Scandinavian stock, was fair as the fariest woman's. . . . I could not take my eyes off from him" (593).
